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※今回、特にウィットに富んだアメリカンジョーク(?)をふんだんに使用しておりますので、ジョークに慣れていない方は、下記ご遠慮下さい。

ああ。旅に出たい。
30過ぎてから急に放浪したくなる日々。
仕事が若干暇だと言うのもあるが(これは問題だが)、先月バンコクに行ったばかりにもかかわらず、再びHISに駆け込んだ。

先月散々散財してしまったので、今回、あまり金がない。
俺は、近場で安く済むお隣のソウルに行ってみることにした。

出発は3日後。
急と言えば急だが、宗主国の人間として、いたわるべき属国の民の姿を一度は見ておこうという、慈愛の気持ちが湧いて溢れ出て来たのだ。

ところが、HISの窓口のお姉さんが異なことを口にした。

「パスポートの残存期間が6ヶ月必要ですが、大丈夫ですか?」

えっ?!パスポート?
だって、ソウルは、併合して日本国でしょ?!パスポートいらないじゃん!

と驚いたが、お姉さんは、
「韓国はもう日本じゃないんですよ」
と優しく教えてくれた。

なんと60数年前に独立して、いまや日本の統治下にはないと言うのだ。

知らなかった。。

まあ、でも、ここまで来たら、“旧宗主国”として行ってみようと、気持ちを改めて、3日後の10月15日。

成田から、俺は韓国は仁川空港へと向かった。

バンコクなら、もう庭みたいなもんだから地図も必要ないけど、さすがに初めての地は若干緊張するなぁ。
と思いながらも、何にも現地に情報を調べてこなかったもので、空港からソウル中心街への行き方も分からなかった。
そこで、歩いている若い空港職員に日本語で尋ねてみると、

「すいません。インフォメーションに聞いてください」

と英語で返された。

えっ?!
この国は厳格な日本人教師によって、みんな日本語教えられてるんじゃないの?!

再び驚いた。
俺は、旧宗主国の人間として、若干の腹正しさを感じながらも、ようやくリムジンバスというもので向かうのが最良の手段と言うことを突き止め、9000ウォン(約800円)のチケットを購入し、バスに乗り込んだ。

バスは約1時間かけてソウルに向かう。そのバスの車窓からの眺めは、もう先進国のそれだ。

俺は、さすが日本が統治した国だ、と誇らしげに思っていると、後ろのほうで日本人のおばさんたちの声が聞こえてきた。

「ヨン様に早く会いたい!」「韓流スターたちのグッズを集めなきゃ」とか意味不明な言葉を口にしている。

“ヨン様”とは、一体何だ?

と思って尋ねると、

おばさん方は、韓国の芸能人だと教えてくれた。

何やら、そのヨン様のために過去にいっぱいお金を使って、また今回の旅でも使う予定なのだという。

良く理解出来なかったが、俺は、たぶんこんなことだろうと思って、

分かります。俺もタイや東南アジアを旅するときは、街の物乞いたちに小銭を投げ歩いてますから。そういうことですよね。

と同意を求めると、おばさんたちは、怒りに満ちた顔で、

ヨン様をバカにしてるんじゃないわよ!

と、それぞれ語気を強めて抗議の言葉を口にしてきた。

しまった!
この人たちが“キチガイ”だと言うことに気が付いた俺は、慌てて、気を落ち着かせるために、謝罪の言葉を口にした。

君子危うきに近寄らず、である。

しばらくして、バスがソウルの中心街に着き、あたりを見渡すと、町中がハングル語という、古代文明のような字で埋め尽くされている。
日本語どころか漢字すら見当たらないので、何を意味しているのか分からない。

せっかく教育したのに、日本の統治がなくなったせいで、文化が退化してしまったのかと、俺は落胆のため息を付いた。

その後、ホテルに向かい、チェックインすると、そこの従業員たちの名札の苗字が皆、「金」という字であることに気が付く。
全員“金さん”だったら紛らわしくて仕方がない。

何故、もっと創氏改名を徹底させなかったのだろうか。

俺は、尊敬していた過去の日本人たちが、意外に抜けていた事実に、憤慨やるせない気持ちで、ソウルの初日を向かえたのであった。

(以下、無駄に続く。文体は戻ります)

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