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先ほどから独りで焼酎の晩酌しながら、今さら人生を振り返ってみた。
かなり無駄な行為だが、ふと思った。

『俺は生まれてこのかた、女性から褒められたことがあっただろうか?』

こんな疑問が思い起こったのも、深い理由がある。
深い理由はあるが、残念ながら忘れた。
忘れる程度の深い理由だったのだと思う。

で、“褒め言葉”である。

この言葉の定義は難しい。

「良い人ですね」

という言葉を異性から言われたとして、これが“褒め言葉”といえるかどうかというのは微妙なところだ。

では、俺が過去に言われた言葉群はどうか。

「うざい」
「キモイ」
「ブサイク」

×××
これらの言葉を投げかけられたことは度々あるが、このへんの言葉は、「愛情の裏返しか?」と考えたところで、どうにも思い出すだけツライ。心が再び病みそうな言葉なので、きっと“褒め言葉”ではないのだと思う。
では、

「ちょっとうざくない?」
「ちょっとキモイね」
「ちょっとブサイクだね(爆)」

というような柔らかな副詞がついたような状態の言葉はどうか。
こういった言葉を投げかけてくれた女性たちはきっと心の優しい子たちだったのだと思う。
ただ、“褒められた”と思うには、いくら俺が類まれなポジティブシンキングの持ち主であることを差し引いても、ちょっと難しい。

その他を思い出すと、

「変な人」
「何考えてるか分からなくて怖い」
「シモネタがキモウザイ」
「マッチ棒みたい」
「顔が変」
「・・・(完全無視)」

というような他愛もないものばかりだ。
このへんも俺の都合の良い脳内フィルターを使ってもイマイチ褒められた感じがしない。

馬鹿馬鹿しくも記憶をさらに辿るが、社会に出てからは何もなかった気がする。
学生時代。
大学、高校と遡っても、記憶にない。

ところが。記憶が中学にまで遡ったとき、一つ記憶に残っていた言葉があった。

それは、中学3年のときのことだ。
俺が下校途中、年子の妹とその友人に出くわした。
当時。
妹はなんでだか俺が兄であることを友人たちに悟られるのを嫌がっていた。
学校の中で、すれ違うとあからさまに避けた。
友達を家に呼ぶときは、俺に家から出て行くか自分の部屋から一歩も出ないかを迫った。

当時、かろうじて学校には行っていたが、友達といえる友達もいなく、ほとんど引き篭もり状態だった俺は、ちょっとした不良グループに属して友達も大勢いる妹に引け目を感じて、大体が妹の言う通り、部屋から一歩も出ずにオナニーばかりしていた毎日だった。(今もあまり状況変わらないけど)

そんな妹とその友人。
そのときは、あまりに正面でバッタリあってしまったものだから、お互い無視するのもどうかという感じで挨拶して我々が兄妹だというのが、妹の友人にも伝わってしまった。

さぞや妹は不愉快なんだろうと思っていたが、その後、家に帰って、夕飯のときに妹が珍しく俺に好意的に話しかけてきた。

「兄ちゃん、さっき会った友達が兄ちゃんのこと“中の上”くらいだって言ってたよ」

中の上。

この言葉を告げられて、喜べる人間が果たしてどのくらいいるか分からない。
大体、何を基準に、どの部分を指して“中の上”と評価しているのかも分からない。

ただ、正直にこのとき、俺は、この言葉が嬉しかったことを覚えている。

当時、中学生にして、とっくに女の子の冷たさと残酷さを骨身に染みるほど浴びていた俺にとっては、パッと見で、“馬鹿にされなかったことがあった”というだけで十二分に励まされた。

俺だって、まんざらではない。

そう思った。

今や、それから倍も年を取り、女性からどう思われるかというのに一喜一憂する年でもなくなった。

ただ、その後の人生で俺が意識していることがある。

それは、俺は人と付き合うときに、その人の“欠点”ではなく、なにか一つでも良い部分を見つけたら、その良い部分でビジネスでも飲み仲間でも、付き合うようにしている。
それから、人のことは褒める。
ほとんどの人間には、何がしか自分より優れている部分があると思っている(これは事実だ)

良く「あいつウザイ」とか、「むかつく」とか言う周囲の声が聞こえてくるが、自分はそういう言葉は口にしない。

ここ数年。遅めの人生の社会復帰を果たし、ビジネス面で人脈が広がったのだけれど、たまに人に言われることがある。

「良くあんな奴を褒められるね」
「何であんな連中を切らないの?」

自分は言われるまで割と無自覚なのだが、他の人間から随分疎ましく思われているような人間でも平然と付き合っている機会が多いようだ。

あまり考えて人と付き合っているわけではないので、後付の結論だが、理由があるとしたらこうだ。

かつて誰かに褒められたこともない自分。
もしも、自分が同じ立場にいる彼らを切ったならば、それは自分自身を切ったことに他ならない。

誰だって、誰かに認めてもらいたくて身もだえするほど苦しいはずだから。

コメント

素晴らしいです!
人間の口はひとつしかありません。
どうせなら、前向きの発言を心がけたいものです!

2007/10/19 17:29:12 | チー

「中の上」
いいじゃないですか~!
偶然ですが過去に私も
そう言われたことがあります。
そして、鉄さんと同じように
喜んだ自分を思いだしました。
鉄さんにすっごく親近感です♪
ちょっとお寿司みたいだけどっ^^

2007/10/19 21:12:19 | はるか

確かに貴殿が人の悪口や陰口を言うところを聞いた事が無いな。

素晴らしいじゃないか、このサーカス野郎!
俺が女だったら、付き合ってやるよ(゚Д゚)

2007/10/21 16:20:09 | Jigen

>>チーさん
女の口は二つありますけれどね。

>>はるかさん
恋の予感がします(ポッ)

>>次元さん
次元さんが女かぁ。
マッチョ過ぎて怖いような、抱かれ心地は良さそうですけど、、

2007/10/21 18:26:31 | キャバクラ独眼鉄

「中の上」www

オレと同じかwww

2007/10/23 11:53:45 | さす

いつも楽しく読ませて頂いてます。
女の口は嘘をつきますが、男も嘘をつきます。男の嘘は女の嘘よりタチが悪いように想いますが・・・。

2007/10/29 20:34:31 | りゅう

>>さすさん
同じですが、中の上すら、俺には1度しかない褒め言葉でした。。

>>りゅうさん
その通りです。
女のほうからしたら男のほうが百倍信用ならないってことになるでしょうね。

2007/10/29 22:15:45 | キャバクラ独眼鉄

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