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ビデオボックスというところがある。
何をするところかと言えば、アダルトビデオを借りてテレビのある小さな個室に入る。
それだけのところだ。
女性が出てきたりはしない。

では、中で何をするのか。

男が一人、アダルトビデオを持って個室ですること。
他の人間の姿は見たことがないが、
少なくとも、そこで、学術論文を書いたり、ピザの宅配を取ってパーティーをしたり、オリンピックに出るためのウエイトトレーニングをしたりはしない。

基本的に想像する通りのことをする。
そんなところだ。

先ほど。

声を大きくして言うほどのことではないので、小声で言うが、
俺は、とあるビデオボックスに行ってきた。

何でそんなところ行くの?

と聞きたくなる人もいるだろう。

それは、俺がモテないからとか、彼女がいないから、だとか、そんな理由からではない。

俺がビデオボックスに行った理由。

それは、俺が「男だから」だ。

男だから、俺はビデオボックスに行ったのだ。

ビデオボックス。

今は、ビデオテープではなくDVDの時代。
俺は入った店で、1000本はくだらない品揃えの中から、物色していた。

とりあえず、速攻、夏目ナナの新作に手を伸ばした。

ぐふふ。これさえあればっ

あとはテキトーである。
ケースをパッケージから抜いて手当たり次第、計5本ほどカゴのなかに入れた。

それを持って受付に行く。
ところが、次の瞬間、俺の差し出したカゴを見た店員が顔をしかめた。

「すいません、パッケージごとお持ちになってもらえますか」

俺は、

マジかよ!
家の近くのTUTAYAは、パッケージを持っていったら逆に怒られるのに!

などと言いたくなったが、その店にそれぞれルールってもんがある。

大体、こんな店で無意味に抗議して必要以上に目立ったところで何の得もない。

俺は、一つ一つパッケージを回収しようと、DVDの陳列棚のところに戻った。

31歳独身彼女なし(ブサイク)が、ビデオボックスで店員に怒られてトボトボAVのパッケージを探している姿。
我ながら間抜けにもほどがある。
ホントに勘弁してあげて欲しい仕打ちだった。

ところが、ここで問題が起こった。

夏目ナナ以外は適当なセレクションだったため、自分の選んだものがどこの棚にあったかアッという間に記憶から消えていた。

やばい。

俺は焦った。

こんな軽く1000本はある中から自分が選んだ残り4本を見つけようなんて、海岸に落としたコンタクトを探すようなもんじゃないか!

などとウロウロしていると、俺の背中が哀れに思ったのか、店員の一人が一緒になって探してくれようとしている。

しかし。

それはそれで問題があった。

このとき借りたDVDが夏目ナナ以外、尋常じゃないタイトルのものばかりだった。

さすがは従業員とばかりに、次々と探し当てる。

「『電マ戦隊』ありましたよ」
「残りは、『人妻恥辱レイプ』と『鼻吊りレズファック』ですね?」

とか、他の客の前で声を出して読み上げる。
訝しげな冷たい視線を他の客が送ってくる。

違う!違うんだ!夏目ナナ以外は、仕事の参考で借りただけで、歪んだ性癖ゆえに借りようとしたわけではないんだ!

などという言い訳を声に出している暇はない。

俺は最後の一本を血眼で探した。
店員より先に見つけないと大変なことになる。

俺は、本気で焦った。

なぜなら最後の一本は犬の獣姦モノだったからだ。
タイトルは、『犬とYシャツとわたし』(違ったかも知れないが)

いや、まじでこんなもの、性的には興味ない。

でも、犬と人間がヤっているところなんてたまには見たいじゃないか!

という、どうしようもない好奇心がこんなにも馬鹿馬鹿しい形で自分に跳ね返ってくるなんて!

しかもだ。
こんなどうしようない場所で、さらに俺の身に、思いもよらぬ展開が待ち受けていたのだ。。

俺が必死で最後の1本を樹海の中から探し出し、安堵のため息とともに、再度受け付けへ向かったときだった。

入り口の自動ドアが開き、茶髪の若者が入ってきた。
その後ろには一人の女が立っている。
なんと女連れでビデオボックスに入店してきたのだ。

そして、場違いな来客の乱入に足を止めた俺を尻目に、若者は、

「すいませーん。ここって朝まで泊まれたりするんですかぁ?」

と、すっとんきょんな声で店員に聞き出した。

店員がその答えに頷くと、さらにそのバカそうな若者は、質問を続けた。

「俺たち、AVとか、そういうの興味ないし借りないんで、ただ泊まるだけで良いんっすけど、ぶっちゃけここ幾らなんっすかぁ?」

俺は、その言葉を耳にしたとき、瞬間的に、腸(はらわた)がねじれる思いがした。

女連れでビデオボックスに来て、AVに興味ないだぁ?!
ここをどこだと思ってるんだ、コンチクショー!
大体、料金聞くのに、「AVに興味ない」なんて枕詞必要ないだろうっ!!

全くなんて差だ。
男としての差、ここに極まれりな瞬間だった。

片や脳みそは足りないくせにAV不要の女連れ。
一方、31歳彼女無し(ブサイク)は、彼らが興味がないと断言したAVに、良い年こいて興味津々の上に、そのAVすらスムーズに借りることすら出来ずに、惨めにもパッケージを回収させられている。

ちくしょー!
こんなもの、こんなもの!!

俺は手に持ったAVのパッケージが急に憎らしくなって、思わず、ヤツらに投げつけて一矢報いてやろうかと思った。
が、気が触れたと思われるのも癪だったので、大人しくしていた。

すると、店員が後ろの女を見て、こう言った。

「すいませんが、女性は御入店いただけません」

俺は、心の中で小さくガッツポーズをした。

そうだ。良く言った!
カップルなど入店禁止だ!

俺なんて、周りの友人たちが次々と女性たちに“入店”していくのを尻目に、惚れたあらゆる女性から交渉の余地すらなく“入店禁止”を喰らっているのだ。

せめて、ビデオボックスくらい大人しく“入店”させてくれっていうんだ。

その際には、薄壁一枚の隣の部屋にカップルなどいらない。

俺は他の誰からも愛でてもらえない分、せめて静かに自分で愛でてやりたいのだ(キモイ発言だが。。)

そんな気持ちになった折のビデオボックスの店員の一言だ。わずかばかりに救われた。

が、そんな気持ちも束の間。

入店を断られた若者は、店員の言葉に残念がる様子もなく、一言、

「ああそうなんっすか」

と言って、背を向けた。

その刹那。

俺と若者の目が合った。

一瞬早く避けた俺の視線が、うかつにも背後の女の視線とも重なってしまった。

次の瞬間。

カップルは二人、顔を見合わせ、馬鹿にしたような笑みを浮かべた。

その姿を見た俺は、
自分の手のなかにあるAVが、ズシリと重く身に染みたのを感じたのだ。。

コメント

おひさしぶりー。って、さっき電話で喋ったけどw
久々に鉄さんのコラムを読めて嬉しい限りっすわ。つぅか相変わらず爆笑っすなぁ。マジオモロイ。
また機会があれば飲み交わしましょうぜーッ!!

んなワケで今後ともよろしくでっす。

2007/08/01 19:03:52 | キャバクラ侍 辻斬丸

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rf{͎ʒʂĂ邪͌Ȃwww

l^񂹂閂͂͂www

2007/08/05 7:18:19 |

>>辻斬丸さん
こちらこそ、よろしくお願いします。
にしても、そっちはすっかりモテキャラに変貌ですねえ。人生色々ですなぁ

>>サスペンダーさん
文字化けしまくってますが、なんとなく笑ってもらえたことだけは分かりますw
今後ともよろしくどうぞー

2007/08/05 18:52:04 | キャバクラ独眼鉄

面白かったです^^
更新楽しみにしています♪

2007/08/06 21:52:07 | haru

>>haruさん
初めまして。
今後ともよろしくどうぞー

2007/08/07 13:47:01 | キャバクラ独眼鉄

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