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困ったことが起こった。
ホントに困っている。

それは、安倍首相が退陣して福田内閣が出来たことでもなく、ミャンマーで僧侶たちのデモが軍事政権に弾圧されていることでもなく、地球温暖化が一向に緩和される見込みが立たないことでもない。

それは、俺の地元のお気に入りのビデオボックスの真下に、同じくお気に入りの立ち飲み屋が出来てしまったことだ。

これの一体、どこが困った事態なのか。

単純に言って、知っている人間に自分がビデオボックスに入店する姿を見られるのは恥ずかしい。

ビデオボックス。

前に一度、説明したことがあると思うが、そこは“男の憩いの場”。
別に風俗嬢と触れ合うわけではなく、選んだアダルトビデオを個室で見る。それだけの店だ。
しかし、その密室で、当然男が独りですることと言ったら一つしかない。
少なくとも、そこで、学術論文を書いたり、ピザの宅配を取ってパーティーをしたり、オリンピックに出るためのウエイトトレーニングをしたりはしない。

要は、こんなところに通っていること自体、公言することが恥ずかしい場所だと言える。

もしも、人前で、
「俺はビデオボックスに通ってます!」
などと口にする人間がいたら、そいつはアタマが悪いか、アタマがおかしいかのどちらかである。

まして仕事相手にもこのブログを知らせておきながら、わざわざビデオボックスに通っている話を日記で書くような男がいたら、気持ちが悪いとしかいいようがない。
それが32歳の独身彼女なしの男だったらなおさらだ。もう目も当てられない存在と言えるだろう。
俺なら、そんな奴のブログのお気に入りは速攻削除するが、もしも削除しない人間がいるとしたら、それは実は俺に好意があるか、もともと日記すら読んでないかのどちらかである。
これはアクセス解析を見る限り後者のようだ。読まれてなくてホントに良かった。

と、話は脱線したが、ことの経緯を書くと、
これはまだ先月くらいの話なのだが、このビデオボックスに入ろうとしたときに、新店としてこの飲み屋を見かけた。
呼び子に誘われたので、「ちょっと一杯」と思って入ってみると、これが安いし感じが良い。

次の日も行くと、もう俺のことは覚えられていた。どうも昔からこういうところで顔を覚えられやすい体質のようだ。これはたぶん自分がハンサム過ぎることに由来するのだろうが、美形は時として損をするということを身をもって証明した瞬間であろう。

しかし、また翌日。
この日は、なぜか悶々として、イチモツが隆起著しい男の奮い立つ一日だった。
そこで、俺は、もう飲み屋は関係なく、このビデオボックスだけを目当てにこの場所に向かった。

ところが、もう完全に顔を覚えられていた俺は、路上の呼び子によって、当然のように店の中に案内されていたのだ。

俺は思った。

いかん!
このままでは、もう二度とこのビデオボックスに入れなくなる!
なんとかせねば!

俺は、危機感を抱いた。

しかしなぜ、俺は、世の中に星の数ほどあるビデオボックスのなかから、この店を限定してお気に入りにしているのか。
これは、邪馬台国が九州にあったか近畿にあったかという議論に次ぐ重要な歴史的問題なので、答えておかねばならない。

(無駄に続く)

2007-09-11

耳毛狂騒曲

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数ヶ月前。
仕事で実家に帰ったところ、俺の横顔を見た母親が、

「あら?!」

とスットンキョンな声を出して顔を近づけてきた。
そして、こう言った。

「あらやだ?!アンタも耳毛生やして!」

そう。
こんな恥ずかしいことは、公にはしたくなかったのだが、俺には人間として致命的な欠陥がある。

他のほとんど総てが完璧すぎる故に、神がいたずらしたとでも言うべきか、「耳毛」が生えているのだ。
しかも、これは正確な表現ではない。
正確には“耳の中毛”である。
耳の中に、肉眼でも気持ち悪いくらいに、ぴろ〜んと1〜2センチほどの毛が数本生えているのだ。

この“耳の中毛”は、優性遺伝子らしく、我が家の男子に脈々と受け継がれている。

そういえば、小さな頃、祖母が祖父の耳の毛を抜いているのを目撃したことがあった。さらには、時折、父親が横になっている隙にピンセットを持った母親がスルスルっと近づき、“耳の中毛”を瞬時に抜いている場面に何度も出くわしたことがあった。

俺にも、それと同じ遺伝子が流れていたのだ。

そのときは、母親は自分の旦那にするのと同様に化粧台からピンセットを取り出し、俺の“耳の中毛”を慣れた手つきでプチっと抜きさった。

それから、数ヶ月が経ち、“耳の中毛”は再び成長し、指で触れても伸び伸びと育っているのが分かるようになった。

場所が場所だけに、自分ではこの毛は剃れない。

俺は、あるとき揃った男の友人たちに、この俺の“耳の中毛”を剃ってもらうよう懇願した。

ところが、友人たちは全員、

「イヤだよ!近寄るなよ!」
「気持ち悪っ!」

と口々に俺を罵倒しながら、拒絶の姿勢を示した。

俺のアイデンティティーが喪失しかねない危機であるというのに、なんと冷たい奴らだ。

きっと彼らの耳には引っかかる毛もないので、俺の悲願の言葉も素通りしてしまうのだろう。

俺は失望した。

友達想いの俺は、もしも彼らが何か人生でピンチに陥ったならば、総てをかけて守ってやろうと思っていた。

ところが、この考えは今日で改めることにした。

プライドを捨てて哀願した俺の耳毛カット依頼を、可哀相な子を見る目つきで無視した連中の面倒なんて、誰が見るか!!

と、シクシクと憤っている俺に、一人の後輩がポツリと囁いた。

「鉄さんも早く耳毛くらい剃ってくれる相手見つけりゃいいじゃないですか」

あのなぁ。。

ここ数年、金でも払わなきゃ、女性たちは、俺と目も合わせてくれないんだぞ、このヤロー!(涙)

にしても。

ブログでいくら愚痴ろうとも、俺の“耳の中毛”問題はカシミール問題と同様にまだ解決していない。
しばらく実家に帰る用事はないし。。

耳毛って床屋とか行ったら、剃ってくれるのか?

どうしようかなぁ。 。

耳毛すら処理が出来ない人生ってイヤだなぁ。

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先日。
俺は誕生日だった。

もう32歳。アル中も進行中。なんか、7割5分くらい終わってる。
でも、そんなの関係ねえ。

誕生日。年に1回の誕生日だ。
この日ばかりは何か記念に残るようなことをしたい。

そう思ったものの、恋人に祝ってもらったり、友達と遊んだりというような普通の人が経験する行為は俺には向かない。

向きたくても向かない。

だって、そんな相手、いないもの。
祝ってもらったことなどないもの。

しかしだ。

俺にしか出来ないことがある。
きっとあるはずだ。

そう思って。
考えること1分。
俺は思いついた。

デリヘルを呼ぶことにした。

最近、久しく風俗など利用したことがなかったが、思い立ったら即実行。
ネットで検索。
大手らしい店舗の某店に電話して、派遣をお願いする。

バースデイデリヘル。

普通の人間なら空しさで二の足を踏むところ、果敢に挑戦する。
それこそ、漢(おとこ)の生き様じゃないか。

そう思って、部屋をセコセコと清掃。
女の子が我が家に足を踏み入れるのは、何年ぶりだか。。

そうして、掃除をしていると、部屋のチャイムが鳴った。

来た。
ハッピーニューデリヘル嬢。

俺は期待を胸にドアを開けた。

ところが。。

その顔を見て、俺は思わず引いてしまった。

へ、変な顔をした子が立ってますよ、はい。。

見かけで人を差別してはいけない。
確かにそう思う。
こういう意見を否定することは、まさしく自分を否定することに他ならない。

でもね。

なんか変ですよ。可愛くないですよ。。

しかし、気の弱い俺にはチェンジなどという選択が出来ずに部屋に招き入れた。

言葉使いも変。
なんか、態度も変。
言葉を交わしても会話にならない。。
そして、顔も変。
なんというか、ちと、ビョーキ??
このタイミングでは俺の方も、誘う気にならない。。

む、無理かも。。
なんか、このテンションでそういう行為に向かう気持ちになれないかも。。

そうこう悩んでいるうちに、俺の携帯が鳴った。

なんと、実家の母親からだった。

アホほど微妙なタイミングの電話だ。

出るかどうか悩んだけど、ほとんど会話も続かないデリヘル嬢とこのまま黙って向き合うのもバツが悪くて、思わず電話に出る。
すると、母親は電話に出た俺にまず、こう口にした。

「お誕生日おめでとう。」

そして、こう続けた。

「で、どうなの? そろそろ良い人見つかったの?」

なんて、電話だ。

俺は、目の前のデリヘル嬢に目を向けた。
そのデリヘル嬢は俺のことには全く関心がなさそうに、変な顔のまま携帯をいじっている。

俺は、答えた。
「いや、そういうのはないけど、まあ、なんか、そのうち頑張るよ。。」

なんというか、助かったけど、全然助かってないというか、ホントに微妙過ぎる電話だった。肉親からの電話で人生32年間中、最もタイミングの悪い電話だったかもしれない。

母親は、続けて、本気で心配したように、こう加えた。

「お前は人が良いし、良い男だから、きっと色んな子と知り合って迷っているんだろうけど、ちゃんと見極めなきゃダメだよ。一生の選択なんだから」

い、いや、その。。
あなた、悪いけど、自分の息子を明らかに見誤っているから。。
俺が良い男とか、馬鹿親も甚だしいし。。
迷うとか、そんな選択肢なんてないし。。
おかげで見極めたくてもそんな相手いるはずもないし。。
それどころか、誕生日にデリヘル呼んでるし。。
しかも、そのデリヘル嬢すら妙な子で抱く気にならんし。。

その後、母親は、「水廻りはちゃんと掃除しなきゃダメだよ」とか「お前は偏食のくせがあるから食事には気を使わないといけない」というような幾つかの小言を口にした。
俺はそのいずれにも気のない返事をして、電話を切った。

そして。。

こんな空しい電話を受けた後で、変な顔をしてやる気なく携帯をいじっているだけのデリヘル嬢を抱く気にはなれず。。
俺は1時間20000円も払いながら、その子にDSを差し出して、無意味な時間を潰して、終了の合図を聞いてしまった。

なんというか。。

ある意味、自分の歴史に残るビミョーな誕生日だった。

(了)

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