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良い歳こいて、夜中になると人寂しくなって、ふらふらと街に繰り出してしまうのだが、ここ最近はもっぱらガールズバーに通ってしまっている。
指名も営業もない営業形態が居心地良く、さらに性格の良い子たちが揃った店が歩いていけるところにあって、そこでダラダラと週3、4回ほど夜の25時あたりから明け方近くまで無駄金使って、アルコールで思考を停止させている。
俺が行くと大体相手してくれる子が決まっていたのだが、昨日は珍しく店長が相手をしてくれた。
店長といってもまだ20代後半の元水商売の綺麗な女の子。
その街のキャバクラに5年以上いただけあって、夜の街に詳しく、共通の知り合いも多いことが判明して盛り上がる。
で、その店長が昔いたというキャバクラにも、実は以前呑みに行っていたことを思い出した。
そこはこの地域でも有数の高級店だったのだが、俺はSという子を指名していた。
指名で何度か通いつつも、ヘタレの性格がたたって一度も同伴にすら誘うこともないまま、しばらくすると、店に行かなくなってしまった。
その後も、しばらくは営業メールが来ていたが、やがてそれも途絶えた。
そんなことを思い出したので、いまだに同じ店で働いてるのかな、という軽い気持ちで、
「3、4年前にいたSって子は知ってる?
昔、何度か指名してた子なんだけど」
と、聞くと、店長が驚く言葉を口にした。
「Sちゃんのこと知ってるの?あの子、去年、死んだんだよ」
俺は、思わず声を失った。
Sは、その頃25、6歳くらい。キャバクラに夜中までフル出勤しならも、昼は正社員で服飾のデザイナーでバリバリ働いていた。
天然のキャラとお嬢様っぽい美貌で、お店では人気があった。
何人もの羽振りの良い客を掴えて、客からもらったリンカーンの車に乗っていたとのことで、稼ぎは相当のものだったようだ。
それが、一昨年くらいに過労がたたって体調を崩したという。
にもかかわらず、変わらずに昼も夜も働き続け、仕事の合間にSが控え室でうずくまっている姿をよく仲間のキャバ嬢たちが心配していたという。
そうして働き続けているうちに、去年の初め頃、連絡も途絶えて心配になった友人が家に見に行くと、家で亡くなっているのを発見されたのだという。
葬式に行った店のオーナー曰く「過労死」とのことだ(外に出せないような死因の可能性もあるが)
思い出すと、Sは、こっちがずっこけるくらいマイペースな話しぶりの子で、接客態度からも、とても優しい子だろうなと思える子ではあった。
一体、そんな子が、何を過労死に到るまで昼も夜も仕事をしなければならなかったのか。
親の借金でもあったか、
自分の店でもやりたかったのか、
店長は、プライベートのことは良く分からないとのことだったが、とにかく思ったのは、
人間死んだら、お終いだ。
ということだ。
いや、死ぬのは仕方が無い。
残したものもあるだろう。
別に残す必要があるとも思わない。
しかし、人が羨むほどの美貌と意思を持ったSの未来が、生き急ぎ過ぎたキャバクラの副業ごときに失われたのだとしたら、哀し過ぎる。
このガールズバーを出る頃には、毎晩それなりに気持ち良く酔っ払って帰るのが日課だったが、この日ばかりは鬱々とした気持ちで家路に向かうことになったのは、言うまでもない。
ただただ、合掌。