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妙にリアルで鮮明な夢を見た。
その日、僕はペットショップにいた。
都内に良くあるペットショップの一つで、四方をガラスケースに囲まれた小型犬たちに紛れて、おかしな犬が1匹いるのが目が入った。
その犬は、中型犬で、たて髪がぼうぼうに生えてるけれど、身体の体毛は薄く、しかも中途半端なブチ色で、顔のそれぞれのパーツのバランスも悪かった。
まあ、一言で言ってブサイクな犬だった。
でも、僕が近寄るとキャンキャンと、それはそれは嬉しそうに尻尾を振る。
そのブサイクさが、愛らしく思える。
でも、
僕はマンションで一人暮らし。仕事時間は不定期で、家に戻らない日なんてしょっちゅうな生活をしている。
犬なんてとても飼える身分じゃない。
そう自分に言い聞かせたにも関わらず、無邪気にキャンキャンと叫ぶ、そのワンコをしばらく見ていると、どうしても欲しくなって、ついに我慢出来ずに、レジのお姉さんに、購入を希望した。
値段は9800円だった。
ああ、どうしよう。犬は10年以上は生きる。
僕はこれからも一人で、酒に溺れたグチャグチャの生活のまま、このワンコを育てなければいけない。
プレッシャーが押し寄せた。
しかし、ショーケースから出てきたワンコが、それはそれは嬉しそうに僕に抱きついてくると、そんなプレッシャーは消し飛んだ。
カワイイ、かわいい、なんて可愛いんだ。
子供が出来たように撫でていると、次の記憶では、僕は会社のオフィスにいた。
そこは確かにオフィスなんだけれど、何故か仕事と関係ない知り合いも大勢いて、みんな飼い犬を持って来ていた。
ウチのオフィスは、ペット禁止なんだけれども。
どうやら、僕の周りでは犬を買うのが流行しているようだ。
会社の仲間も、指名のキャバ嬢も、大学時代の友人も、呑み友達も、
皆が皆、自分の愛犬を連れていた。
みんなが買っている犬は、トイプードルやチワワ、キャバリアなど血統証付きの小型犬たちだった。
僕も買ったばかりの犬をみんなに見せた。
ところが、僕の犬を見ると、みんな、口々に冷たい視線になって、ぼそぼそと非難し始めた。
「なんか、ちょっと変じゃない?」
「可愛くないでしょ?」
「顔、おかしいよ」
「奇形じゃないの?」
変わらず無邪気に僕にまとわりつく愛犬を抱きかかえながら、みんなの言葉にムッと来て、それぞれ言い返していたものの、徐々に、僕は自分の犬が他の犬たちより劣っているような不安に苛まれた。
ふと顔を見ると、愛嬌があったブサイクさが、本当に醜いだけのようにも思えてくる。
なんとか、そんな想いを打ち消そうとしていると、いつの間にかオフィスに入ってきた、父親や母親、妹などの家族が僕のそばに寄ってきた。
家族は、普段のそれで、もっとはっきりと僕の一世一代の買い物に罵声を浴びせた。
しかも、その罵声は飼い犬にではなく、徐々に僕へのものになっていく。
「お前に犬なんて飼えるのか」
「そんな暇があったら嫁の一人でも連れてこれんのか」
「お前みたいだらしないヤツに飼われた犬のほうが可愛そうだ」
周囲にいた僕の知り合いたちも歩調を合わせるように、僕への悪口へと切り替わっていく。
方々から聞こえる罵声の数々に、僕は、何一つ言い返せず、その場に立ち尽くしていた。
ただ、みんなの罵声に耐えている間に、
いつの間にか、愛犬の他人の犬に対する劣等感は消え、僕はこれまでになく愛らしくなり、ギュッと強く両腕で抱きしめていた。