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1月も後半になって去年の話だが。
先月末に行われた仕事相手との忘年会での出来事。
某都内で、たまーに顔を出しているキャバクラに顔を出すと、およそ半年ぶりくらいに、数年のあいだ惰性で指名しているSと再会した。
顔なじみのボーイが、店に入るなり、「Sさん、指名で良いでしょうか」と聞いてくるので、
「金は払うから場外指名にしといて」
というが、俺の本意を読み取ることなく、言葉とは逆に、俺の横にSをつけさせた。
場外だって言ってるだろ!
と怒鳴るが、そんな俺の感情も読み取る能力もないSは、「久しぶりで嬉しい!」と猫撫で声で、すり寄ってくる。
半年ぶりのSは、見ない間に美しいキャバ嬢に変身・・・することもなく、肌はボロボロ、腹は自堕落な生活を象徴するようにぽっこりと出て、高校中退、キャバクラ生活6年目仕込みの、知性のない語り口調は、輪をかけてヒドくなっていた。
そして、無駄に乾杯すると、Sはおもむろに俺の耳元でこう囁いた。
「鉄クンにどうしても謝らないといけないことがあるの」
??
数ヶ月から半年に1度、店内で会うだけ、メールも1ヶ月に1回くらい営業メールを送るだけの関係の俺に、一体何を謝ることがあるのか。
珍しく真剣な表情にちょっと気になって、その中身を聞く。
すると、Sは、こう告白した。
「私ね、この間までシャブでパクられて2ヶ月留置所にいたの。連絡取れなくてホントにゴメンね!」
×××
軽く目が点になりつつも、「さもありなん」という顔をしている俺をみて、Sは、
「ねえ、ねえ!嫌いにならない?わたしを軽蔑しない??」
と確認するように聞いてくる。
その真剣な顔をみた俺は、
「軽蔑なんてしないよ」
とSに優しく返した。
それを聞いたSは、心から嬉しそうな声を出す。
「ホントに!? やっぱり、鉄クンだったら分かってくれると思ったの! でも、軽蔑されたらどうしようかとホントに心配で、内緒にしとこうとズッーと思ってたんだよ!」
俺は、Sにさらに優しく声をかけた。
「俺がキミを軽蔑なんてするわけないよ。だから安心していいよ」
軽蔑なんてしない。
それは、ウソのない、俺の心からの言葉であった。
だって、会ったときからマリファナ引いてる話しばっかりで、心配する俺の声に耳を傾けることもなく、
「あたしの売人は芸能人にも卸している優秀な売人だから、絶対大丈夫なの!」
と何が大丈夫なのかどうかも分からない理由で吸い続けるヘビースモーカーだった上に、アルコール依存症で夜になると泥酔酩酊、彼氏はヤクザで、さらには嘔吐癖があって、仕事中もゲロゲロするため席を立って、戻ってくるたびにゲロくさい女だったのだから、シャブでパクられたくらいの告白を聞いたところで、一体何を軽蔑する必要があるというのだろうか。
俺の甘い言葉に、すっかり喜んだSは、
「次パクられたら実刑だから、シャブはヤメて、お酒一本にしたから、ボトル入れていい!?」
と訳の分からないおねだりをしてきた。
俺が丁重に、そのおねだりを断ると、Sは、帰り際に、何の要望すらしてないのに、突然胸の谷間を寄せてきたかと思うと、下着の隙間から、乳首を見せてきた。
「なにやってんの?」
と聞くと、
「今までのお詫び」
と回答。
乳首を見せることの何が詫びなのか?
ここは、そういう店じゃないし、完全に頭がイカれた展開だが、
Sの乳首はシャブとマリファナとアルコールで全身ドロドロな血液と反比例するかのように、淡いピンクでとても奇麗だった。
俺は、まるで処女かとも思えるようなSの乳首を眺めながら、
「キミの罪悪がその乳首にまで染まらないことを祈っているよ。良いお年を」
と言って店を出たのだった。