2008-06-19
十戒(戒める男達)
「東の生き恥」の異名を持つ男、フグが大阪にやってきた。
そこでオレは、我がキャバクラ系ロックバンド「キャバレットクラップス」のベース担当、そしてサイトのメンバーでもある「真之介」を伴い、大阪の夜の街へと繰り出してみることにした。
「今日こそはアフター即ハメだ!」
「オレ達に明日はない。今、この瞬間こそが全てだ!」
「やってやれないことはない!『アンタはやればできる子なんだよ』ってお母さんも言ってたもん!」
「おーッ!!」
というような感じで、我々は近年まれに見るハイテンションで挑むコトにしたのだった。
行く先々のキャバクラで場内指名・ドリンクなどを振る舞い、また自慢の話術を駆使して、キャバクラ嬢達を必死で口説く。手当たり次第に。無節操に。
「こ、今夜、ア、アフター行こうぜ!」
この夜、オレ達は何度この言葉を口にしたのだろうか。
そして、数軒のキャバクラをハシゴし終えたオレ達の先に待ち受けていたモノ。
それはいつもどおりの「真っ白な消失感」のみであった。
「め、メシでも食べて帰るか…」
カレー屋「CoCo壱番屋」に入った我々。
席に着くや否や、フグがこう叫んだ。
「不甲斐ない自分に喝だ!アフターの一つもモノにできない、そんなだらしない自分をオレはみずからの手で戒めるッ!!喝だッ!!」
てっきりオレは「カツカレー」でも頼むのかと思ったのであるが、なんと驚く事に彼はこの店でもっとも辛い「10辛カレー」をチョイスしたのだった。通常のカレーの24倍の辛さを誇る、この店一番の激辛カレー。メニューには「過去に5辛を全て食べた方に限らせていただきます。」と記されているほどの、極めて危険度の高いカレーである。
そして続けざまにこう彼は叫んだのだ。
「オマエらも喝だ!全員10辛ッ!」
気力・体力ともに消耗しきった深夜の4時。さらに極辛10辛カレーで自身を痛めつける我々。
想像を超えた辛さが、オレ達の舌・喉・胃袋に容赦なく襲いかかる。
したたる汗、こぼれる涙、漏れる嗚咽。そして周囲から聞こえてくる嘲笑。

なけなしの金に淡い期待を込め、そして醜態を晒し、無惨に散って行った男達。それだけでも十分に痛々しいはずなのに、それだけでも十分に生きる価値ナシなのに。それなのにオレ達は、さらに「辛さに悶え苦しみながらカレーを食う」という辱めをみずからに科さなければいけないのか。
この日、もっとも不甲斐なかったはずのフグが、口から火を噴くイキオイで叫んだ。
「侍ならばもっと自分を追い込め!甘えるなッ!この激辛地獄がイヤならば、目に見えるカタチで結果を示すしかないんだッ!そう、次回からも背水の陣で挑めよッ!何一つ成果がなければ、今後もこの激辛が待っているモノと思えッ!!あ、すいません。お水のおかわりお願いします…。」
その彼の切なる言葉を、溢れ出る涙と鼻汁をキャバ嬢達から手渡された名刺で拭いながら、オレは思った。
この辛さに慣れる日はそう遠くはないなと。




















コメント
ふふふ、みんなダメ人間ですね〜
ライブ、行きますね!
2008/06/20 0:41:30 | アベル